南極:平和と科学協力の大陸

CS朝日ニュースターで、8月22日から放送される
Learning Planet は、夏場にこそ、涼しい映像をお見
せしたいと南極の特集を組みました。
 
今年は1959年に南極条約が採択されてちょうど50周年。
数ある国際協力の枠組みの中で、最もうまく機能してきた
ベストプラクティスの一つだと思います。南極は、「平和
と科学協力の大陸」。これまで事故でお亡くなりになった
方はいらっしゃいますが、一切の戦闘行為はなく、7カ国
は領土主権を主張していますが、それも過去50年凍結さ
れて(南極にぴったり!)、きわめて平和的に気象観測や
地質研究の調査が行なわれてきたのです。太古の岩石や
氷を調べることで、地球の歴史や気候変動の状況がわかり
ます。南極は人類共通の「タイムカプセル」なのです。
 
ゲストとしてお招きした外務省地球環境課長の水野政義
さんには、外交官としての立場から南極条約体制につい
てお話しいただきました。資源の発掘は止まっている一
方、観光の規制や環境保護、生物遺伝資源についての取
り決めなどが議論されていて、他の国際協力の枠組みよ
りも、建設的だというご意見でした。
 
もうお一人、朝日新聞科学部記者で南極越冬経験のある
中山由美さんには、数千枚中から厳選していただいた珠
玉の写真、そして美しくも厳しい自然の映像を交えて、
雪と氷に閉ざされた厳寒の世界で暮らした体験をお話し
いただきました。ちょうど堺雅人主演の「南極料理人
も公開されますが、水耕栽培で育てたキュウリ1本を
42人で分けて味わったエピソードなど、めちゃめちゃ面
白かったです。
 
僕自身は、松下政経塾の塾生時代に南極条約のことを調べ
たことがあり、ミネソタ留学時代に、師匠のハーラン・ク
リーブランド教授も南極に関心をもっていて意気投合しま
した。今までは、割高で開発されてこなかった石油や天然
ガス、レアメタルなどの資源も眠っているので、市場価格
が高騰すれば、南極の資源の取合いが起こる可能性も否定
できません。また、南極の氷は世界最大の淡水資源であり、
「ナンキョクオキアミ」は単一種としては地球上で最大の
質量をもつ生物種、そして、人類にとって最大の動物性タ
ンパク質資源なのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%A7%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%A2%E3%83%9F
 
南極大陸に広がる氷が、人類の持つ無限の可能性を象徴す
る、白いキャンバスであってほしい。過去50年間、南極
で実現してきた平和的な科学協力が、地球上の他の地域で
も当たり前のように行なわれる国際社会に進化してほしい
と願う気持ちを新たにした収録でした。

http://asahi-newstar.com/program/learning/

初回放送
第4土曜 夜10:00〜11:55
再放送
第4土曜 深夜3:00〜4:55
翌日曜 午後4:00〜5:55
翌水曜 夜9:00〜10:55
翌木曜 深夜1:00〜2:55