野次厳禁

アメリカ合衆国の大統領が、議会で演説するのは年頭教書
(The State of the Union Address)の時くらいで、めっ
たにないのですが、医療保険制度改革に関して、議会を説
得するために、上下院合同の会合で熱弁をふるいました。
 
その途中で、"You lie!" というが飛びました。声の主は
ジョー・ウィルソン(Joe Wilson)下院議員(共和党
サウス・キャロライナ州選出)。米国の議会では、大統領
に対して、この手の野次を発することは非礼とされます。
 
当然のことながら、演説終了後、ウィルソン議員は謝罪し
ました。
I extend sincere apologies to the president for this
lack of civility."
(大統領に対して、礼を失したことをお詫びします。)
 
民主党からはもちろん、身内の共和党からも、批判が集ま
りました。
"It was crude and disrespectful."
(野卑で、敬意が感じられない。)
"Having a spirited debate is one thing, exercising
bad manners is another. That was beyond the pale."
(議論が白熱することと、マナーが悪いことは別物だ。
 彼の野次は許容範囲を超えている。)
というように非難囂々なのです。
 
ひるがえって、わが国の国会を省みると、内閣総理大臣
演説中の野次も、耳をつんざくばかりの怒号の連続。とて
も海外メディアに見せたくない醜態だと思います。
 
テレビの「闘論番組」でも、人の話を聴けない出演者が多
いことをとても残念に思います。civilized discussion
(上品で洗練された話し合い)が、テレビでも国会でも、
実現してほしいものだと願っています。 

参考:
http://edition.cnn.com/2009/POLITICS/09/10/obama.heckled.speech/index.html