UST講座メモ「情報を伝達するということ」

今晩(4/27)23:30から、3日ぶりにUSTREAM生放送
を行ないます。テーマは岡部 健 @kenokabe さんか
らのリクエストにお応えして
コーチングスキルを伝達に活かす方法」
です。
  
http://bit.ly/98HW9u
 
一般に情報伝達というと、クロード・シャノンの情
報理論のモデルで語られます。思いっきり単純化
てお話しすると

通信の基本的課題は、ある地点で選択されたメッセージを
正確または近似的に別の地点で再生することである。
                    シャノン
 
この言葉を図示するとこんな感じです。
 
 
       ノイズ
 |
        V
送信者 ---------------> 受信者
       送信路

こうした考え方は、情報伝達の「小包モデル」と言わ
れています。客観的な「メッセージ」があたかも「物」
のように、AさんからBさんへと伝達される、という
考え方です。
 
これに対して東京大学情報学環西垣通先生が唱える
「基礎情報学」では、コミュニケーションというのは、
もっと生命の営みに根ざしたものだと考えます。
 
個人の頭の中にある思考や想念というものは、閉じて
いるので、外から見ることはできません。実際、脳自
体には入出力回路はついていないので、脳は外界から
の「影響」を間接的に受けるだけなのです。

そして、西垣先生は、誰から観察しても同じ「客観的
な外部世界」というものが唯一つ存在するのではなく、
一人ひとりの頭の中に、その人の世界があるのだと、
考えます。 
 
そして、コミュニケーションの際に、たとえばAさん
が、言葉やノンバーバルなメッセージを送るのですが、
Bさんが感覚器官を通じて受け取る刺激としては、B
さんが感じるようにしか受け取れません。
 
 
      刺激を与える
Aさん --------------------> Bさん
 
するとBさんの世界観(worldview)が変化する。
そして「Bさんの世界観が、自分が意図したとおりに
変わったなあ」という風にAさんが思った時に、「情
報が伝達した」と、Aさんは思うのです。しかし、こ
れは全て主観的なプロセスなので、本当にAさんの意
図した通りにBさんの認識が変化したのかはわかりま
せん。
 
ここからは本間の考え方ですが、コーチング的なコミ
ュニケーションというのは、傾聴と質問をくりかえす
ことにより、相手を変えたり、知識を伝達することで
はなく、一緒にいて、場を共有して、自分の意図が伝
わっているかどうか、丹念に確認し続けるプロセスと
いうことができるでしょう。本当のところはわかりま
せんが、丁寧なアプローチになっているとは思います。