「英語公用語」は何が問題か?の問題

NHK教育テレビでも活躍されている鳥飼玖美子先生が
角川oneテーマ21から「英語公用語は何が問題か」と
いう本を出されました。
 
僕は、産經新聞内田樹先生と紙上対談させていただ
いてから、「英語公用語推進論者」と目されているよ
うですが、そうなるとコメントしないわけにはいきま
せん。
 
マスコミで取り沙汰される「英語公用語化」に関する
記事は、どうも「英語が公用語になったら大変だ!」
という不安感を煽る論調が多くて、それは非常に困っ
たものだと感じています。ビジネスの現場では、とっ
くに実質的に英語であらゆる業務が行われている職場
がたくさん存在しているわけで、楽天が社内食堂のメ
ニューを英語表記するかどうかなんて、およそ枝葉末
節の話なのです。
 
日本人だけの会議を英語で行なうと、アイディアが出
なくなるといったピント外れな議論も散見されますが、
そんな必要もまったくありません。日本語の通じる人
が会議する時には、日本語で会議すれば良いのです。
ただ、それが日本語を解さないステークホルダー(会
社上層部、株主、監督官庁など)に開示すべき記録と
して残す場合には、英語で議事録を作成する必要があ
ります。英語公用語化の最大のポイントは、この部分
にあると僕は考えます。
 
そして、人材のグローバル化は待ったなしで加速して
いくでしょう。モティベーションが高く即戦力として
使えるNon-Japanese が列をなしているのに、能力も
やる気も低い日本人の新卒者を定期採用するのは不合
理だ(極論すれば人種差別だ)と考える株主に対して
いつまでも日本語を方便として用いることは不可能な
時代になっています。
 
英語公用語化に対して是が非か、という議論は「攘夷
か開国か」という議論に似ていて、現実を見れば「ど
のように開国するのがベストか?」ということを、各
企業の実情に合わせて検討していくフェイズになって
いると思います。