当事者意識を引き出す対話

昨日は、日本コーチ協会四国チャプター・スペシャル勉強会。チャプター代表・谷益美さんからの提案で、「当事者意識を引き出す対話の極意!」というテーマになりました。僕にとっても、このテーマでセミナーを行うのはまず、谷さんと対談をしているうちに、僕の中でプログラムの輪郭が浮き上がってきました。大学の授業に身が入らない大学生のこと、あるいは、先日の参議院選挙の投票率も話題になりました。

そこで、参加者の方に「家族、会社、地域、国、地球社会」の5つのレベルのそれぞれについて、5点法で「当事者意識を強く感じる、感じる、ふつう、あまり感じない、全く感じない」でスコアをつけていただきました。次いで、なぜ、そのスコアをつけたのか、4人組のテーブルごとにふりかえり、ダイアローグを15分間。ダイアローグのルールは「聴き合う。否定しない。視点の幅を広げる。多様性を楽しむ。自分軸を確認する」ときわめてシンプルなもの。これだけで、司会者を決めなくても、みなさん積極的にお話しできるのです。
徳島から駆けつけて下さった中川利津代さんら数名の方から意見を伺った後、今度は、「当事者意識をあまり感じていないメンバーにどんな働きかけをすれば、それを高めることができるのか」というテーマでダイアローグその2。

当事者意識は英語では sense of ownership と言いますが、「私の組織、私の仕事」などというように「私の」という所有感覚があり、所属する集団の中で、自分の存在が感じられます。また、自分がいることで、働くことで、そこに影響があると感じられる時に、当事者意識が高まります。
逆に「自分なんていてもいなくても同じだ」とあきらめてしまうと、当事者意識は低下し、傍観者・評論家・被害者の立場になってしまいます。自分に何かできる(I can make a differnce.)、と思えば、それがどんなに小さなことであったとしても、それを行おうとするもの。CTIのハチドリの話は、まさに、森に対する愛情の表れでした。逆に、愛の反対は無関心(indifference)だと、マザーテレサは言っています。

評論家は、他人事として「良い、悪い」という形容詞で評価を下すけれど、当事者は「わがこと」としてとらえ、能動的に「何ができるか」を考えるものです。ですから、一人ひとりの「可能感」を高めるコミュニケーション、具体的には「ほめる、感謝する」という声がけが、当事者意識を高める効果を持つのだと思います。

当事者意識とは、まさに「事にあたる」という意味。当事者であるとは、「誰かの所為(せい)」(誰かが為した所)と片付けるのではなく、「I」(私)を主語にして動詞で考える立場なのだ、と気づきました。このテーマ、面白かったなあ。谷さん、四国チャプターのみなさん、ありがとうございました。