アリヤラトネ博士の講演

「世界平和を実現する文明の展望」
A. T. アリヤラトネ博士の講演会が、11月20日、京都で開催されました。スリランカで仏教思想に基づく農村開発運動(サルボダヤ運動)を1958年に開始。「サルボダヤ」とは「全ての人の覚醒」という意味。「欲望」(greed)に基づく物質文明を超えて、「必要」(need)に基づく新しい文明のあり方を提唱されています。現在、スリランカの15,000以上の村(総人口の2割)で活動を展開し、アジア最大級のNGOとなり、政府の行政施策の届かない農村部を中心に、医療・福祉・教育・職業訓練マイクロクレジットなど様々な活動を展開してこられました。

内戦の続く中、非暴力思想を徹底し、対立しあう全ての勢力からも平和の実践者として尊敬され、マグサイサイ賞ガンジー平和賞、仏教伝道文化賞などを受賞し、ノーベル平和賞にノミネートされるなど、国際的に高く評価されています。

博士の講演を、岸本郁夫さんがまとめて下さったので、転載します。

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知識ではなく、知恵に基づく社会作りを。

人は歳を重ねるごとに、知恵をつけ、賢くなる。
それは知識ではなく、知恵に基づく社会作りをしていくことになる。

まず大切なことは、全ての命を大切にすること。生きとしいけるものすべての命に対して敬意を払う。人、動物、植物、すべて。

知恵を身につける第一条として、生きとしいけるものの命を大切にすることなのだ。

ところが、核をはじめとして、私たちがコントロール出来ないものを使うべきでは無いという教訓を、人類はまだ学んでいない。

私がスリランカで56年以上活動してきた「サルボダヤ」とは、全ての人が目覚めること。全ての人が覚醒して行くこと。それは人を助けることを通じて、慈愛の心に目覚めて行くこと。

暴力的な考えがたとえ浮かぶだけでも危険

本当の平和を実現するにはフィロソフィー(精神)が大事。
平和的な思想。
それはいわゆる執着心を手放すこと。

知識ではなく本来の意味で知恵を学習し、学び続けることが大事。

いまの文明を正しい方向に導くためには
?万物流転、全てのものは変わることを知ることだ。
死んでも持っていけるものは何もない。持って行けるとしたら、この世の中で積んできたいいカルマ(業=行い)と、悪いカルマだけ

?私たち一人一人が覚醒し、学習して知識ではなく知恵を身につけ、政治的、経済的なリーダーたちに発し続ける必要がある。

知恵を身につけると、発する言葉が変わる。
そうすると正しい行いに変わる。

自分自身を開発させて行く。覚醒させて行く。そうして影響力を高めていいくと、平和の影響力を与えることが出来る。それは核エネルギーよりももっと巨大なエネルギーとなって世界を平和で包む。

仏教における3つの敵とは
?欲望
?無知
?憎しみ
(特に欲望の限界を知る。コントロール出来ることを知る。欲望が競争を呼び、競争が暴力を生み出す)

欲望の逆は、与えること。
物を与えるとお金がかかるが、
愛を与えるのはお金かからない。

これら3つ
(欲望、無知、憎しみ)が、
愛、貢献、精神的な成長
に置き換えられて行く必要がある。

それは自分たちの心を磨くことで、置き換えられて行く。

それは、瞑想をすることで始まる。
1日2回、朝と夜に5分だけでいいから瞑想をする時間を取りなさい。

アレキサンダー大王からの教訓を忘れないで。
私は、私の心を征服しようとしている

医者は、どんなにしても死を止められないことを知ることだ。
世界を征服したとしても、死ぬ時は何も持っていないこと知ることだ。

それには、正しい知恵を身につけ、無知を克服して行くことだ。

・・・私、岸本郁夫がした質問は、
世界中の方たちと対話されてこられたアリヤラトネ先生のから見て、今後10年、特に「日本人に」期待されることはどういったことですか?

それはモラルを持ったリーダーシップ
見返りを求めないリーダーシップ
与え続けるリーダーシップである。

欲望をコントロールすることに意識するのではなく
与えることを少しずつ実践し続けること。

本当に大切なこと。それは慈悲の心。
慈愛の心を私の身体に捧げます。

精神と魂を鍛えるには?
心を空っぽにすること。考えを手放すこと。考えを手放せということです。

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アリヤラトネ博士は83歳のご高齢にもかかわらず、心をこめて、
そして、パワフルに語って下さいました。ご健康とこれからのさら
なるご活躍をお祈りしたいと思います。