民主主義リテラシーを高めよう!

Facebook の上も、いわゆる「大阪都構想住民投票に関する意見が飛び交っていますね。僕自身は、制度論の限界を痛切に感じていて、むしろリーダーの人柄を重視する立場。橋下氏が「僕のような敵を作る政治家はワンポイントリリーフ」とおっしゃっていたのは、ある意味、正確な自己認識だったのではないかと思います。
おそらく大阪だけでなく、少子高齢化社会で財政状況はますます厳しく、グローバルな競争は熾烈になっていく時代に、それぞれの地域の未来を政治家任せにできる余裕はなくなっていると思います。首長部局の提案を唯々諾々と追認するだけの議会も、改革派市長の提案をことごとく意固地になって否定しまくる議会も機能不全と言わざるを得ません。地方議員(もちろん国会議員も)の提案能力がますます大切になっています。
民主主義の価値は、市民の民度によって決まります。民度という言葉が曖昧であれば「民主主義リテラシー」というような概念を提案したいと思います。それは「地域や国の未来を決める重要な政策について、きちんと情報を入手し、読みとき、理解し、考え、自ら判断できる力」とでも定義できるでしょう。「パブリックイシューに対する学習能力」と言えるかも知れません。第一条は There is no free lunch. (うますぎる話にはだまされないように!)ですね。高福祉・低負担なんてあり得ないのですから。
今回の住民投票の最終盤に「よくわからない人は、とりあえず反対票を」といくつかの政党が呼びかけていましたが、こういう「悪しきお上意識」を助長するはたらきかけは、まさに僕の提案の真逆のアプローチですね。自分のことを誰かに丸投げして任せておいて良いことはありません。となると、現在のテレビのバラエティ番組よりは、もっと政策的な解説が豊かで、NHKの「日曜討論」よりは楽しくわかりやすい番組が必要ではないかと思います。昔の「サンデープロジェクト」のように不必要に対立を煽るのではなく、異なるバックグラウンドの論客が集まり、建設的に議論することで、現実的な代替案を生みだすトーク番組がほしい、その司会をつとめたい、とまあ、これはもう十年来のビジョンですね。
かつて松下政経塾の研究部門の責任者をしていた時(1990-92)に「最適規模自治体の研究」というレポートをまとめました。当時は、人口規模で言えば30-50万人くらいの基礎自治体が適当なサイズで、これならば、病院経営やゴミ処理などの行政サービスを提供でき、ある程度、民意を吸収できるはず、という議論でした。今はもう少し小さいサイズ(15-30万人くらい)に高度な自治権を持たせるのが適当かな、と感じています。(これは印象論ですけど)
そして、どんな枠組みであったとしても、そこに良いリーダーがいることが大切です。日本の地域社会の活力を高めるためには、地域それぞれに異なる「地域の持ち味を活かし、住民の知恵を引き出し、未来のビジョンを引き出せるプロデューサー型の人材の育成」が不可欠だと思うのです。
*最後は宣伝です。
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