本間正人の未来ビジョン

ここ数年4月1日には、「しつもん家」 マツダ ミヒロさんの例にならって、「先取りする未来」を書くことを恒例行事としてきました。でも、あまりまことしやかに書いてしまったために「エイプリルフール」のジョークだとわからなくなってしまったことがあります。惑わせてしまった皆様、ごめんなさい。今年は、ごくまじめに2016年から展望する「未来構想」を発表したいと思います。これらは先月3/12-13に榎本 英剛 さんが主宰されている「天職創造セミナー@藤野」に参加した際に得られた気づきとその後のビジョニングで出てきたものです。NPOハロードリーム実行委員会の「夢の日」(11/1)より7ヶ月ほど早いですが、大風呂敷を広げまくる長文、どうかご容赦下さい。
1つ目は、「僕達の世代のローマクラブを創る」というもの。これは1982年、松下政経塾に入塾した当初から語っていたことです。国連の役割は大切ですが、どうしても国益のせめぎ合う対立の場になりがちです。かつて「成長の限界」「限界なき学習」といったレポートを出した「ローマクラブ」(the Club of Rome)が一つのお手本です。地球益・地球人益の立場に立って、地球社会のビジョン(Learning Planet)を提示する世界的なネットワークを構築したいというのが僕の30年来の志です。僕の師匠の世代は、飛行機で集まって会議を行ない、成果物を印刷して公表するという方式でしたが、今や、ネットの上で縦横無尽なコミュニケーションをとって叡智を結集することが可能になりました。「エネルギーと環境」「人口と食料」「情報と公正」といった世界的課題群に関して叡智を集めていきたいです。
2つ目は、「建設的なダイアローグテレビ番組の国際版」。田原総一郎さんの「朝まで生テレビ」には歴史的役割があったと思いますが、他方、不必要な対立を煽る「闘論」になっていたきらいがあります。そして、マスメディアはCNNもNHKBBCも、NYタイムズ朝日新聞も、基本的に「国」の枠内のもの(中東のアルジャジーラはもうちょっと広域的ですが)。しかし、インターネットの時代には、無国籍というか超国籍のオピニオンを発信する局があっても良いはずです。Youtubeを使って、TEDの新しいバージョンのようなものをスタートするのは、今年のうちにできる話だということに気づきました。とりあえず、京都発世界に向けての情報発信をしていこうと思っています。地上派のテレビ番組も、知的レベルの低下が著しく、公共政策に関して構造的に理解しようとする取組みが薄いので、何かできることはないかと考えています。
3つ目は、人材育成。国連大学が東京・青山にありますが、元々は、ビルマ出身のウ・タント事務総長が、政府派遣ではなく国連プロパーの職員を養成したいという想いからスタートしたものでした。しかし、各国の思惑などから、当初の構想は骨抜きになり、今は研究機関として位置づけられています。しかし、年間1億円もあれば、たとえばスリランカあたりの物価の安い研修施設を使い、世界各地から100人くらい未来のリーダー候補を集め、3ヶ月合宿研修を行ない、地球の課題を学び合い、ビジョンを構築し、友情を育むことができるはず。日本政府が実施してきた「世界青年の船」をさらに拡充したイメージです。松下政経塾がそういう役割を担えると良いのですが、今のところは国内の政治家養成に力点が置かれています。
以上、3つの柱、いずれも遠大なものではありますが、決して不可能ではなく、すべて実現可能な話だと考えています。榎本英剛さんが取り組んでおられる「トランジションタウン」「セブンジェネレーション」の活動と重なるものも多いのを感じます。
こうした長期展望を実現するためにも、まずは京都造形芸術大学を、さらに素晴らしい大学へと発展させていくことに注力していきたいと思います。徳山詳直・前理事長が提唱された「芸術立国」の理念は、僕のビジョンとほとんど重なると考えています。そして、23年前に書くと決めて、まだ出版されていない「学習学のすすめ --- 誰もが最新学習歴を更新する社会へ」を今年前半のうちに上梓しなくてはなりません。 干場 弓子さん、 高木 繁伸さんお待たせしていて本当に申し訳ありません。何度目の正直か数えられませんが、「今度こそ」です。
僕の「天職」を実現する第一歩は京都からスタートします。