大型研修

learnologist2008-11-30

これまで、ロールプレイやディスカッション
などをとり入れた、参加型の企業研修と言え
ば「20人から30人程度で実施するもの」と
いうのが業界の常識でした。ロールプレイな
どを大人数で実施するのは無理、という固定
観念があったのかも知れません。

確かに、大人数研修の場合、講師には「気合い」や
「迫力」が求められます。言葉で定義するのは難し
いのですが、迫力ある講師、気合いの伝え方の上手・
下手というのは、誰もが感じることです。私の場合、
200人から300人規模の研修を今年だけで、十数日
担当しています。

「本間さんは、そんな人数でも参加型で研修するん
ですか?!ロールプレイもそんな大人数で!?」

と驚かれることがたびたびあり、「そうか、これは
結構めずらしいことだったのか」と気づきました。

これまで最大の参加者は約1000名で、この時には、
階段状の座席でしたが、ペアワークは隣どうしで、
4人組のディスカッションは前後で実施し、大好評
を博しました。この模様は、『私が会社を変えるん
ですか?』(中島崇昴共著、JMAM出版)で紹介し
ています。

大人数で実施する最大のメリットは、研修経費の大
幅な節約です。300人の参加者の研修を10日間に分
けて開催するのと、1日で実施するのとでは会場費・
講師料などコストが大きく変わります。来年度は、
多くの会社で経営環境が厳しくなることが予想され
ますので、研修予算の圧縮の一つの方法が「大型化」
だと考えられます。

どんなに景気が悪くても、新任管理職研修は絶対に
必要なはず。その定番とも言えるコーチング、部下
の指導育成、評価者面談力などのプログラムを、
10回に分けるよりも、1回で済ませた方がはるかに
効率的ですね。

もう一つのメリットは、大人数ならではの「盛り上
がり」、「一体感の醸成」です。企業の中では、と
もすればセクショナリズムが跋扈し、会社全体を考
える視点が失われがちです。さまざまな部門から大
勢の社員が一同に会し、時間と空間とエネルギーを
共有する体験は貴重です。AI(ポジティブ組織開発)
のワークショップでは、全社員が一同に会して開催
する「AIサミット」が一つの定石になっています。

業務連絡が、メールに依存する割合が高くなってい
る今の時代、たくさんの人の心が共鳴しあう場を
持つことがますます重要になっていると思うのです。
最近、合併したばかりの会社や、事業部の統合など
組織変革を実施した会社では、こうした心理的な紐
帯の醸成が特に重要なのです。