実習生の学びをサポートする

7月26日は、盛岡駅前のアイーナで「理学療法士の実習スーパーバイザー(SV)のための研修会」を開催しました。ハロードリームいわて代表で、いわてリハビリテーションセンター・リハビリ部長の諸橋勇先生に、パワポのスライドを用いて、実習生をめぐる現状についてご報告をいただきました。指導者・実習生の両方に、不安な気持ちがあり、忙しくて余裕のない状況があることが、データから見てとれました。

そして、その後、私のファシリテーションによるワークショップ。
(1)ペアワーク「実習時代の思い出を語る」
 指導者は、かつて実習生だったことがあるので、相手の立場に立って考えることができます。しかし、実習生は指導者になった経験はありません。ですから、指導者が今の自分を基準にして、実習生のあら探しをするのではなく、実習生の現状を受け止めた上で、一人ひとりの特徴を認め、成長をサポートすることが大切なのです。

(2)他者紹介(これで4人組をつくる)
 指導者が指導の参考にできるのは、「自分が実習生だった時の指導者の指導法」、そして、「自分が指導者として指導した実習生との経験」しかありません。他の「指導者-実習生」関係について学ぶ機会はきわめて少ないのが実情です。だからこそ、ダイアローグ形式で、それぞれの経験を語り合い、聴き合うことがとても有益です。

(3)パネルディスカッション
    諸橋先生(岩手リハビリセンター・リハビリ部長)
    昨年実習をを体験した若手
    そのスーパーバイザーで現上司
    学生を派遣した学校の元教員
 この4名のパネリストにご登壇いただき、私がファシリテーターをつとめて、約30分、パネルディスカッションを行ないました。昨年、実習をを体験したばかりの若手療法士が、「膝の関節、というような部分の症状だけを見るのではなく、患者さんの全体像を知るのが大切だと学んだ」「スーパーバイザーがいつも患者さんのことを考えて仕事をしているのが一番、印象に残った」と発言したのが、とても印象に残っています。リハビリのトレーニングで何をするか、という「doing」 だけでなく、一人の先輩として、学習者として、人としてどうあるか「being」 に意識を向けることが、実習の醍醐味と言えるでしょう。指導者は、ティーチャーやアドバイザーであるよりも、むしろ、「ロールモデル」を自覚することが必要です。

(4)ダイアローグ
    SV・先輩として実習生とどう関わるか?
 「実習生の可能性を信じて、話を聴き、体験を言語化するサポートを行うこと」がSVの役割であり、実習生の働きぶりを、よく観察して、美点凝視でほめ育てること。スーパーバイザーの機会を、自分の成長のチャンスとして受け止めること。そのあたりが大切なようです。

(5)Q&A
 2人の療法士の方のお悩みについて、本間がコーチングを行うような形になりました。とても「ありがち」なケースでしたので、他の参加者にとっても、有益な示唆があったのではないかしら?

僕自身、これだけ特化したテーマでの研修をお引き受けするのは珍しいのですが、参加者の方の盛り上がりをみると、「やって良かった!」という手応えを感じています。ハロードリームいわての、諸橋先生、 阿部 英子さん、ありがとうございました。この流れは、看護師、ケアマネジャー、教員、など、様々な分野の実習についても使えるフォーマットだと思いました。

ちなみに、9月8日(日)の午後に岩手医大矢巾キャンパスで開催される岩手県理学療法士学術大会の基調講演として「コーチン公開講座」を行ないます。500人の講堂ですので、岩手近辺にお住まいの方、ぜひお誘い合わせの上、ご参加下さいませ。